【令和8年度診療報酬改定 その6】入院医療の質向上と業務効率化の推進。入院共通事項の解説

令和8年度診療報酬改定

令和8年度診療報酬改定における「入院(共通事項)」では、身体的拘束の最小化や食事療養の充実といった患者の尊厳・生活の質に関わる見直しに加え、ICTを活用した業務効率化や退院支援の強化など、多岐にわたる項目が改定されました。

特に、実態調査から得られた客観的な数値を根拠として、生成AIなどの先進技術の導入効果や、退院を阻む家族側の要因が新たに算定要件へ反映されています。

また、地域医療の維持に向けた医師偏在対策や施設基準のオンライン申請の推進など、将来的な医療DXの基盤整備も図られました。

本記事では、厚生労働省の各種実態調査データから浮き彫りになった課題と、それに対応するための具体的な改定内容について、厚生労働省の資料に基づいて解説します。

プロフィール

Kota
35歳の医療コンサルタント。とんねるめがほん運営。
9年間医療事務として外来・入院を担当。
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現在は“医業経営コンサルタント”として活躍中。
投資もそこそこに継続中。米国株を主軸としてETFや不動産も少々投資しています。
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  1. 家族との連絡難と生成AIによる効率化:データが示す現場の課題
    1. 入退院支援における「退院困難な要因」の実態
    2. 医師事務業務の省力化におけるICTと生成AIの効果
  2. 身体的拘束の最小化と患者の尊厳保持
    1. 入院基本料の通則見直し:入院診療計画と拘束最小化
    2. 身体的拘束最小化の取組の更なる推進(基準の充実)
    3. 身体的拘束最小化の実績等に係る減算規定
    4. 身体的拘束の実施割合の計算方法
  3. 入院時の食事療養と施設基準の明確化
    1. 嚥下調整食の新たな評価と質の向上
    2. 特別料金の支払を受けることができる食事の要件
    3. 各種基準の計算対象の明確化
    4. 特定入院料の種類数の規定
  4. 除外薬剤の整理とICT等を用いた業務効率化
    1. 入院料に包括されない除外薬剤・注射薬の範囲見直し
    2. 除外薬剤の一覧と今後の扱い
    3. ICT等の活用による看護業務効率化の推進
    4. やむを得ない事情における人員配置基準の柔軟化
    5. 医療機関等における事務等の簡素化・効率化
    6. 様式9(勤務時間算入)と小数点以下処理の見直し
  5. チーム医療・事務補助の推進と働き方改革
    1. 看護補助者に係る加算の名称変更
    2. 生成AI等を用いた医師事務作業補助体制加算の見直し
    3. 常勤職員の勤務時間数要件の柔軟化
  6. 手術・データ提出・安全対策の評価見直し
    1. 短期滞在手術等基本料3の算定要件と対象手術の追加
    2. 短期滞在手術等基本料3の対象手術一覧
    3. データ提出加算に係る届出を要件とする入院料の範囲拡大
    4. 医療安全対策加算の要件と評価の充実
    5. 医療安全対策地域連携加算の見直し
    6. 感染対策向上加算等における専従要件の柔軟化
    7. その他の専従要件(医療安全、栄養管理)の柔軟化
  7. 他職種・他機関との連携強化と退院支援
    1. 歯科医療機関との連携強化(口腔管理連携加算の新設)
    2. 認知症ケア加算の評価見直しと体制強化
    3. 入退院支援加算の評価見直しと面会基準の新設
    4. 退院困難な要因の追加と画像情報等の提供
    5. 介護支援等連携指導料の拡充による入院前からの支援
  8. 地域医療の確保とオンライン化の推進
    1. 国家公務員の地域手当見直しに伴う地域加算の変更
    2. 地域加算の対象地域一覧
    3. 激変緩和措置の対象となる地域
    4. 人口の少ない地域・医師偏在対策の全体像
    5. 医療資源の少ない地域の対象地域の見直し
    6. 医療資源の少ない地域の対象地域一覧
    7. 人口の少ない地域での医療提供連携体制の推進
    8. 人口の少ない地域の対象地域一覧
    9. 医療資源の少ない地域に配慮した診療報酬上の特例
    10. 施設基準等届出のオンライン申請の特徴
    11. オンライン申請システムのログインと様式選択
    12. オンライン申請による届出の簡素化
    13. オンライン申請の利用方法と解説動画
  9. 結び:医療の質と働き方改革の両立に向けて

家族との連絡難と生成AIによる効率化:データが示す現場の課題

入退院支援における「退院困難な要因」の実態

令和6年度に実施された「入院・外来医療等における実態調査」では、入退院支援加算を算定した患者における「退院困難な要因」の分析が行われました。

その結果、全病棟に共通して最も多い要因は「緊急入院であること」でしたが、それに次いで「入院前に比べADLが低下し、退院後の生活様式の再編が必要であること」が多く挙げられています。

さらに注目すべき点として、地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟など、在宅復帰の要となる病棟においては、「家族又は同居者から虐待を受けている又はその疑いがあること」や「家族等に対する介護等を日常的に行っている児童等であること(ヤングケアラー)」といった家庭内の複雑な事情に加え、「患者の意向決定支援及び退院後の生活に向けた調整を行うに当たって、家族及び親族との連絡が困難であること」が、退院を阻む大きな要因として浮き彫りになりました。

医師事務業務の省力化におけるICTと生成AIの効果

同じく令和6年度の実態調査において、ICTを活用した医師事務業務の省力化の取り組みとその効果が明らかになりました。

調査結果によると、ICTを活用した取り組みの中で「労働時間の短縮」効果が最も高かったのは、「退院サマリー等の作成補助を行う生成AI文書作成補助システム」や「診療情報提供書の作成補助を行う生成AI文書作成補助システム」でした。

これらの生成AIを活用したシステムは、導入施設全体の約80%で労働時間の短縮が報告されています。

この定量的なデータは、単なるデジタル化にとどまらず、AI技術が医療現場の働き方改革に直結することを示しており、今回の改定における「医師事務作業補助体制加算」の要件緩和の強力な根拠となりました。

身体的拘束の最小化と患者の尊厳保持

入院基本料の通則見直し:入院診療計画と拘束最小化

入院診療計画について、入院期間が2日以内と見込まれる患者に対しては、文書を用いた説明や交付を行わなくても差し支えないという基準が設けられました。

また、医師や患者の署名も不要とされ、診療録への記載で代替可能とされています。

身体的拘束の最小化に関しては、令和6年度に新設された体制基準に加え、新たに実績等に係る基準が導入されました。実績基準を満たさない場合、入院基本料等から20点が減算される規定が追加されています。

家族等による面会についても、正当な理由なく妨げないよう通則に明記されました。

身体的拘束最小化の取組の更なる推進(基準の充実)

入院料の通則において、身体的拘束最小化のための組織風土を醸成することの重要性が追記されました。

また、定期的な研修に「身体的拘束の代替手段」や「患者の尊厳の保持」に関する内容を含めることが望ましいとされています。

身体的拘束最小化チームが作成する指針にも、これらの項目を盛り込むことが求められています。組織全体で患者の尊厳を守る体制の構築が重視されています。

身体的拘束最小化の実績等に係る減算規定

身体的拘束最小化の実績等に係る基準が新設され、体制基準に加えて、実施割合や具体的な取り組みの継続が求められます。

実施割合が1割5分以下であること、または原則廃止に向けて委員会の定期開催やチームの巡回等を実施していることが条件とされています。

体制基準を満たさない場合は40点の減算、実績基準のみを満たさない場合は20点の減算が適用されます。

身体的拘束の実施割合の計算方法

実績基準で使用される「身体的拘束の実施割合」の計算式が示されました。直近3か月の入院料算定日数のうち、身体的拘束を実施した日数を分子とします。

ただし、センサークリップのみの使用や、処置・移動時の一時的な安全確保のためのベルト使用、訓練中の車椅子固定などは実施日数に含めない規定となっています。

精神病床や特定集中治療室など一部の入院料は計算対象から除外されます。

入院時の食事療養と施設基準の明確化

嚥下調整食の新たな評価と質の向上

入院時の食事療養費の特別加算について、従来の治療食に加えて「嚥下調整食」が対象に追加されました。

摂食機能や嚥下機能が低下した患者に対し、医師の発行する食事箋に基づき、安全性と食欲を促す外観を両立した食事を提供した場合に評価されます。

算定には、定期的な多職種によるミールラウンドや試食会、管理栄養士の所定研修修了が要件化されています。

特別料金の支払を受けることができる食事の要件

基本メニュー以外の特別なメニューを提供する場合の追加費用について、保険医療機関が柔軟に妥当な額を設定できるよう見直しが行われました。

また、行事食やハラール食など、患者の宗教や多様なニーズに配慮した食事を提供した場合も、特別な料金の支払いを受けることが可能であることが明確化されています。

十分な情報提供と患者の自由な選択に基づく同意が前提となります。

各種基準の計算対象の明確化

急性期一般入院料における「自宅等に退院するもの」の割合計算において、当該病棟内で他の入院料(特定入院料や短期滞在手術等基本料)を算定する患者は計算の対象外とすることが通則に規定されました。

退院時に他の入院料を届け出ている病床に転室した患者や、短期滞在手術等基本料を算定する患者を除外することで、施設基準の適合性をより正確に評価する仕組みとなっています。

特定入院料の種類数の規定

病棟が1つの看護単位として機能するに当たり、患者割合等の要件が過度に複雑になることを避けるため、1病棟において届け出ることができる特定入院料の種類が「2まで」と規定されました。

例えば、1つの病棟内で入院医療管理料①と②の2種類までは算定可能ですが、3種類以上の特定入院料を混在させて算定することはできません。

除外薬剤の整理とICT等を用いた業務効率化

入院料に包括されない除外薬剤・注射薬の範囲見直し

回復期リハビリテーション病棟や精神病棟などで算定される特定入院料において、包括範囲から除外される薬剤の一覧が整理されました。

抗悪性腫瘍剤、疼痛コントロールのための医療用麻薬、エリスロポエチン等の腎性貧血治療薬などが、各入院料で共通して出来高算定可能となります。

また、免疫・アレルギー疾患の維持期治療に用いられる生物学的製剤やJAK阻害剤も新たに追加されています。

除外薬剤の一覧と今後の扱い

見直し後の別表において、各入院料と出来高算定可能な薬剤の対応がマトリックス形式で整理されています。

新型コロナウイルス治療薬(抗ウイルス剤)については、令和8年5月31日をもって出来高算定の特例が終了し、以降は包括対象となることが明記されています。医療機関は投薬計画の再確認が求められます。

ICT等の活用による看護業務効率化の推進

看護補助者の配置要件について、ICT機器(見守りカメラ、スマートフォンを用いた音声入力、モバイル端末のチャット機能等)を組織的に活用して業務負担を軽減した場合、看護要員の配置基準から1割以内の減少であっても所定点数を算定できる仕組みが設けられました。

導入前後での業務時間や負担に関する定量的・定性的な評価を年1回程度実施し、労働安全衛生委員会等で確認することが要件とされています。

やむを得ない事情における人員配置基準の柔軟化

医療現場の人手不足を背景とし、公共職業安定所や適正な有料職業紹介事業者等を活用して看護職員の確保に努めているにもかかわらず、突発的な事象で一時的に配置基準を満たせなくなった場合の取り扱いが緩和されました。

暦月で1か月を超えない期間の1割以内の変動であれば、1年に1回に限り変更の届出を行わなくてもよいと規定されています。

医療機関等における事務等の簡素化・効率化

医療DXへの対応や業務負担軽減の観点から、院内で使用する計画書(入院診療計画書やリハビリテーション実施計画書等)について、患者への直接手渡しや署名・押印が廃止されました。

他機関へ交付する書類であっても、2回目以降の交付等では署名等を省略可能とされています。

施設基準届出のオンライン化を見据えた書式の統廃合も進められています。

様式9(勤務時間算入)と小数点以下処理の見直し

病棟の看護要員の配置数を算出する「様式9」について、病棟内の看護要員が緊急事態等で一時的に他病棟の応援に行った場合や、患者に付き添って病棟外で一時的に看護を行った場合でも、自病棟の勤務時間として算入してよいことが明確化されました。

また、小数点以下の処理について「第2位切り上げ」または「切り捨て」のルールが整理され、計算方法が統一されています。

チーム医療・事務補助の推進と働き方改革

看護補助者に係る加算の名称変更

患者の療養生活の世話を行う看護補助者の役割をより明確にするため、「看護補助体制充実加算」の名称が「看護補助・患者ケア体制充実加算」へと変更されました。

直接患者に対するケアを担う職種としての位置づけが強調されており、各入院基本料等において名称の統一が行われています。

生成AI等を用いた医師事務作業補助体制加算の見直し

医療現場におけるICT活用の実態調査(Downloads_113.pdf)において、生成AIを活用した医療文書作成やRPAを用いたデータ集計が、労働時間短縮と作業効率上昇に寄与していることが確認されました。

このデータに基づき、生成AIや音声入力システム等を組織的に導入・活用している場合、医師事務作業補助者1人を「1.2人」または「1.3人」として配置人数に算入できる柔軟な計算方式が新設されました。

情報の安全管理ガイドラインへの準拠や研修の実施が導入の要件化されています。

常勤職員の勤務時間数要件の柔軟化

労働基準法等の所定労働時間を踏まえ、常勤職員の勤務要件が「週32時間以上」から「週31時間以上」へと緩和されました。

育児・介護休業法に基づく短時間勤務制度を利用している職員についても、週30時間以上であれば常勤として取り扱うことが規定されています。

医師だけでなく、医師事務作業補助者など他の職種にも適用され、多様な働き方を支援する規定となっています。

手術・データ提出・安全対策の評価見直し

短期滞在手術等基本料3の算定要件と対象手術の追加

DPC対象病院であっても、特定の対象手術を実施した場合は短期滞在手術等基本料3を算定する要件に見直されました。

また、水晶体再建術(両眼)や子宮鏡下子宮内膜ポリープ切除術などが新たに対象手術として追加されています。

外来での実施率が特に高い手術を入院で行う場合については、患者の医学的必要性を考慮しつつ、全病院における外来実施率に基づいた新たな加算(入院手術対応加算)が設定されました。

短期滞在手術等基本料3の対象手術一覧

D237終夜睡眠ポリグラフィーからM001-2ガンマナイフによる定位放射線治療まで、短期滞在手術等基本料3の対象となる検査や手術の一覧が示されています。

各医療機関は、自院で実施している手術がリストに含まれているかを確認し、適切な算定準備を行う必要があります。

データ提出加算に係る届出を要件とする入院料の範囲拡大

データに基づくアウトカム評価を推進する目的で、データ提出加算の届出を必須とする入院料の範囲が拡大されました。

新たに精神病棟入院基本料(15対1、18対1、20対1)が必須化の対象に加わりました。

病床数が200床未満の病院等に対しては、データ提出加算の要件を満たすことが困難である場合の経過措置(令和10年5月まで)が設けられています。

医療安全対策加算の要件と評価の充実

患者への安心・安全な医療の提供を推進するため、医療安全対策加算の点数が引き上げられました。

要件として、管理者の医療事故調査制度に係る研修修了が望ましいとされたほか、医療安全管理部門において、重大事象の類型化に基づいた情報の集積と傾向把握、必要に応じた検証の実施が義務付けられました。

また、加算2において、医療安全管理者として有資格者以外の者を配置する場合の要件が新設されています。

医療安全対策地域連携加算の見直し

医療機関同士の連携を評価する「医療安全対策地域連携加算」について、特定機能病院においても算定可能となりました。

また、自院の医療安全に関する課題や対応困難事例について、他施設に相談を行い助言を得る体制を評価する「加算2」が新設されています。

ピアレビューなどを通じた客観的な医療安全の向上が評価対象となっています。

感染対策向上加算等における専従要件の柔軟化

感染対策向上加算における感染制御チームの専従者について、介護保険施設等からの求めに応じて専門的な助言を行う場合、月10時間から月16時間まで自院の業務から離れて助言業務に従事することが認められました。

地域の高齢者施設等における感染症対応能力を底上げするため、病院の専門職が地域へ進出することを後押しする要件緩和となっています。

その他の専従要件(医療安全、栄養管理)の柔軟化

感染対策と同様に、医療安全管理部門の専従者や抗菌薬適正使用支援チームの専従者についても、月16時間までは他業務への従事が可能とされました。

また、入院栄養管理体制加算の管理栄養士については、病棟の業務に影響のない範囲で、退院した患者に対する外来栄養食事指導等の継続的な支援を行うことが認められています。

専門職のシームレスな介入を支援する内容です。

他職種・他機関との連携強化と退院支援

歯科医療機関との連携強化(口腔管理連携加算の新設)

入院患者の口腔状態の課題へ対応するため、「口腔管理連携加算(600点)」が新設されました。

医科医療機関が歯科医療機関とあらかじめ連携体制を構築し、患者の同意を得た上で、入院中に歯科受診が必要と判断された際に文書を添えて紹介を行った場合に算定されます。

ウェブサイトでの連携体制の公表や、歯科訪問診療を受けた実績などが施設基準に設定されています。

認知症ケア加算の評価見直しと体制強化

認知症患者への身体的拘束最小化を推進する観点から、認知症ケア加算の点数配分が見直されました。

14日以内の期間の点数が引き上げられ、初期の集中的な介入が高く評価される構造となっています。

また、認知症ケアチームと病院管理者が協働し、組織内で統一した身体的拘束最小化の取り組みを進めることが施設基準に明記されました。

入退院支援加算の評価見直しと面会基準の新設

地域包括ケア病棟等における「入退院支援加算1」の点数が引き上げられ、後方支援機能の充実が評価されています。

また、施設基準の通則として、正当な理由なく入院患者に対する家族等の面会を妨げないこと、面会に関する規定を院内掲示やウェブサイトで公表することが追加されました。

退院先となる介護施設への不当な誘導や金品の授受を禁止する規定も新設されています。

退院困難な要因の追加と画像情報等の提供

令和6年度の退院困難な要因に関する調査において、緊急入院やADL低下に加え、「家族や親族との連絡困難」が退院調整の障壁となっている実態が報告されました。

このデータを踏まえ、入退院支援加算の算定対象となる退院困難な要因に、「家族及び親族との連絡が困難であること」が明記されました。

また、地域連携診療計画加算において、退院先の施設へ検査結果や画像情報を添付して提供した場合の評価(200点)が新設されています。

介護支援等連携指導料の拡充による入院前からの支援

入退院支援部門の担当者が、患者の入院前からケアマネジャー等と共同して介護サービスに関する説明や指導を行った場合の評価として「介護支援等連携指導料2(500点)」が新設されました。

患者の入院後速やかに情報共有を行うことや、退院後のケアプラン作成に向けた早期の連携体制を構築することが要件とされています。

地域医療の確保とオンライン化の推進

国家公務員の地域手当見直しに伴う地域加算の変更

令和6年の人事院勧告における国家公務員の地域手当の見直しに連動し、診療報酬における地域加算の対象地域および加算点数が変更されました。

1級地は18点で据え置かれますが、2級地から5級地までの点数配分が修正され、6級地と7級地は廃止されました。

地域加算の対象地域一覧

1級地(東京都特別区)から5級地までの具体的な市区町村の一覧が提示されています。

医療機関は、自院の所在地がどの級地に該当するかを確認し、請求システムの設定を変更する必要があります。

激変緩和措置の対象となる地域

地域加算の級地変更に伴い、改定前と比較して5点以上点数が減少する地域については、令和9年5月末までに限り、特例的な級地区分を適用する激変緩和措置が講じられます。

人口の少ない地域・医師偏在対策の全体像

過疎地や医師少数地域における医療提供体制を確保するための全体像が示されています。

急性期総合体制加算の要件緩和や、医療提供機能連携確保加算の新設、へき地診療所における在宅時医学総合管理料の算定拡充など、地域特性に応じた手厚い評価体系が設計されています。

医療資源の少ない地域の対象地域の見直し

「医療資源の少ない地域」の指定について、直近の医療施設静態調査等を用いて二次医療圏の再編が行われました。

要件に該当する地域が37医療圏から39医療圏へと見直されています。

また、指定から外れた地域に所在する医療機関に対する経過措置期間の延長も規定されました。

医療資源の少ない地域の対象地域一覧

北海道の日高から沖縄県の八重山まで、見直し後の「医療資源の少ない地域」に該当する二次医療圏と市町村の一覧が示されています。

人口の少ない地域での医療提供連携体制の推進

人口20万人未満かつ人口密度が200人/km²未満の二次医療圏等において、地域の外来・在宅診療体制を確保しつつ、急変時の緊急入院を受け入れる体制を持つ病院を評価する「医療提供機能連携確保加算(入院初日600点、月1回50点)」が新設されました。

医師の派遣や巡回診療の実績が要件化されています。

また、離島加算の点数も引き上げられました。

人口の少ない地域の対象地域一覧

「医療提供機能連携確保加算」の対象となる、人口要件と密度要件を満たす具体的な二次医療圏の一覧が記載されています。

医療資源の少ない地域に配慮した診療報酬上の特例

対象地域における人員配置基準の緩和措置の一覧です。

一般病棟入院基本料や地域包括ケア病棟入院料における看護配置基準の緩和、専従要件の兼任許可など、限られた医療資源で病床を維持するための特例措置が網羅されています。

施設基準等届出のオンライン申請の特徴

地方厚生局への施設基準の届出について、「保険医療機関等電子申請・届出等システム」を利用したオンライン申請が推進されています。

時間外でも申請が可能であり、郵送費用の削減や入力チェック機能による差し戻しリスクの軽減といったメリットが説明されています。

オンライン申請システムのログインと様式選択

システムの実際の画面イメージとして、ログイン画面から該当する加算の様式を選択する手順が示されています。

オンライン申請による届出の簡素化

紙の様式と同等の入力フォームが用意されており、システム上で直接入力して申請が完結する仕組みが導入されています。

控えの電子保存が可能となり、書類管理の負担が軽減されます。

オンライン申請の利用方法と解説動画

システムの利用にはオンライン請求ネットワークへの接続等が必要となります。

厚生労働省の公式YouTubeチャンネルで解説動画が公開されており、円滑なシステム移行が促されています。

結び:医療の質と働き方改革の両立に向けて

今回の「入院共通事項」の改定は、患者の尊厳を守る身体的拘束の最小化や栄養管理の向上といった医療の「質」の担保と、ICT活用や業務の柔軟化による医療従事者の「働き方改革」を両立させることを主眼としています。

特に、データ分析に基づく生成AIの評価や、退院困難な要因に「家族との連絡難」を規定した点は、現場の実態に即した対応と言えます。

医療機関は、新設された施設基準や減算規定を正確に把握し、多職種連携とデジタル技術を駆使した運用体制の構築を進めることが求められます。

僕

最後までお読みいただき、ありがとうございました!