人生最期に聴きたい曲は何ですか?

医療

どうもこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

突然ですが、

あなたは「自分の最期に聴きたい曲」について考えたことはありますか?

現在、僕はとある病院の医療事務員として、日々事務仕事に追われています。

しかし、それとは別に緩和ケア病棟で弾き語りをするという役割も担っています。

その中で人生最期に聴く曲が「僕」の曲である人がいます。

プロフィール

Kota
33歳の医療コンサルタント。とんねるめがほん運営。
9年間医療事務として外来・入院を担当。
毎月約9億円を請求していました。
現在は“医業経営コンサルタント”として活躍中。
投資もそこそこに継続中。米国株を主軸としてETFや不動産も少々投資しています。
趣味は読書・ギター・ドライブ・ダーツ。DJもたまにやります。
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緩和ケア病棟とは

「緩和ケア病棟」と聞いて「?」となる人もいるでしょう。

WHOによると緩和ケア病棟は以下のように定義づけられています。

緩和ケアとは、生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のQOLを、 痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し的確に評価を行い対応することで、 苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチである。

WHOの緩和ケアの定義(2002年)

QOLとはクオリティ オブ ライフという生活の質を意味します。

また緩和ケアとは以下のものだとされています。

  • 痛みやその他のつらい症状を和らげる
  • 生命を肯定し、死にゆくことを自然な過程と捉える
  • 死を早めようとしたり遅らせようとしたりするものではない
  • 心理的およびスピリチュアルなケアを含む
  • 患者が最期までできる限り能動的に生きられるように支援する体制を提供する
  • 患者の病の間も死別後も、家族が対処していけるように支援する体制を提供する
  • 患者と家族のニーズに応えるためにチームアプローチを活用し、必要に応じて死別後のカウンセリングも行う
  • QOLを高める。さらに、病の経過にも良い影響を及ぼす可能性がある
  • 病の早い時期から化学療法や放射線療法などの生存期間の延長を意図して行われる治療と組み合わせて適応でき、 つらい合併症をよりよく理解し対処するための精査も含む

いろいろ書いてありますが、簡単にいうと「抗がん剤治療」などの積極的な治療などをせずに、病気による「痛み」を和らげることを最優先にしている病棟のことを指します。

麻酔科医の話によると、緩和ケア病棟に入らずに治療しつづけて亡くなるよりも緩和ケアに入って亡くなる方がご家族などの理解や納得も得てスムーズに最期を迎えるケースが多いそうです。

積極的な治療だけがすべてじゃないということですね。

そういった「緩和ケア病棟」で月に一度イベントが開催されています。

お菓子や飲み物を愉しみながら、僕ら職員が楽器を演奏したり、歌を一緒に歌ったりするイベントです。

僕はその中でもアコースティックギターで弾き語りをしています。

きっかけは700人ぐらいいる職場の忘年会で・・・

なぜ、弾き語りをするようになったかというときっかけは毎年開催される職場の忘年会での出来事です。

職員は医師・看護師をはじめ、約700人ほどおり、とあるホテルの大広間を貸し切って開催されています。

その中で毎年恒例となっているビンゴ大会の司会を一人で任されることになりました。

僕自身、そういった目立つということに抵抗はありません。

ですから入職1年目から役割を存分に果たして、例年のお決まり役になっていました。

ですが、4年目になった時に事務のお偉いさんから「そろそろ別の人に」という声があがってしまいました。

僕は納得がいきませんでした。他に誰もやりたがる人はいませんし、やりたがっている僕にやらせるのが一番良いのではないかと散々言っていたのを覚えています。

結局、4回目がラストとなり、来年は別の人にさせるということになりました。

僕の中では「たかが」ビンゴの司会役、「されど」ビンゴの司会です。

そこでせっかく役割を終えるのだから「何か爪痕を残したいな」と本番までずっと考えていました。

そこで、思いついたのが。「歌う」ということです。

誰かに相談したら止められるのがオチなので、一切誰にも相談せず、本番でいきなりやってしまえば誰も何も言わないだろう。

(後で何言われるかはわからないけど、どうせ忘年会だし。。。)

そんな気持ちで忘年会当日。ビンゴの時間となり、壇上に上がります。

何を歌おうか迷っていましたが、一番自信のあった尾崎豊の「I LOVE YOU」を歌いました。

もちろん音源なんて準備していません。完全アカペラです。

歌いだした直後、会場全体が「あいつどうした?」という雰囲気に包まれましたが、一生懸命に歌い続けてなんとかその場を盛り上げることができました。やってみて頭が真っ白になりましたが、拍手喝采です。

そして、緩和ケア病棟の麻酔科医もその歌を聴いていました。

「歌上手だったからぜひ緩和ケア病棟で歌って!」

そこから月に一度のイベントに参加することとなりました。

月に一度ギターを持って

僕は中学生のころからアコースティックギターを弾いています。

コード譜を見て弾き語りをしています。

緩和ケア病棟でのイベントを始めて3年ほど経ちます。高齢の方が多いので、選曲は昭和歌謡・童謡をメインにしており、その他みんなに愛される名曲なども弾き語り、患者さんを元気づけています。

毎月のイベントを楽しみにされる方が多く、イベント中に涙されたり、イベントが終了した直後に亡くなる方もいらっしゃるのです。

そういった時にふと

この亡くなった方が最後に聴いた曲は自分の曲なのか

と感じるます。

長生きされている方だと80~90年も生きてきて、これまでにたくさんの音楽を聴いてきた人が最期に聴く曲がこの僕が歌った曲だと思うと。。

本当に自分の曲でいいのだろうか

と感じます。

もちろん本番前に、リハーサルを行っています。
中途半端な気持ちで本番に臨んでいることはありません。

自信を持って弾き語りをしています。

自分だったらどんな曲を聴いて最期を迎えたいかを考えるきっかけにもなりました。

僕が最期に聴きたい曲

僕は中学校のころからサザンオールスターズが大好きです。

その中でも「みんなのうた」が一番好きです。

サザンオールスターズ – みんなのうた 「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018」

中学生の時にこの曲と出会い、聴くといつも元気が湧いてきます。

もし自分が最期に好きな曲が聴けるとしたらこの「みんなのうた」がいいです。

患者さんのご家族からは

普段仕事をしていると、患者さんのご家族に声をかけられます。

「この前のイベントとても良かったよ!」
「いつも楽しみにしてますよ!」
「本人(患者さん本人)もすごく楽しみにしています!」

と有難いお言葉を頂けます。

たくさん温かい言葉に支えられながらイベントに参加しています。

ただの職員の弾き語りを楽しみにしてくださっている方がいると思うと、ありがたくもあり、もっと弾き語りを練習しなければと思う日々です。

普通に働いているだけでは得られない貴重な経験をさせて頂いているとありがたく感じています。

あなたが最期に聴きたい曲はなんですか?