保険診療の仕組みを現役の医療事務が説明してみる【医療費過払い疑惑?】

雑記

こんにちわ。いかがお過ごしでしょうか。

皆さんは病院にかかることはありますか?

普段からかからない人はいざ病院に行くとどれくらい医療費がかかるかわからないですよね。

現役の医療事務である僕が保険診療の仕組みについてお話してみようと思います。

プロフィール

Kota
33歳の医療コンサルタント。とんねるめがほん運営。
9年間医療事務として外来・入院を担当。
毎月約9億円を請求していました。
現在は“医業経営コンサルタント”として活躍中。
投資もそこそこに継続中。米国株を主軸としてETFや不動産も少々投資しています。
趣味は読書・ギター・ドライブ・ダーツ。DJもたまにやります。
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みんな持っている「健康保険証」

病院にかかるには「健康保険証」が必須です
もちろん保険証なしでも受診することはできます。。。が、医療費を全額自腹で支払うことになります。凄まじい請求額になります。

病院、ひいては病院の事務の方々は皆さんが持っている健康保険証に記載されている「保険者番号」や「記号」、「番号」を元に加入している保険者へ診療費を請求しています。

健康保険証は大切なので絶対に無くさないでくださいね。

保険診療の仕組み

病院に受診すると、総医療費の3割を患者さん本人が支払います(高齢者の方や未就学児は2割もしくは1割であったりもします)。

じゃあ残りの医療費は誰が支払うのか。そう、加入している保険者なのです。

病院が保険者に診療費を請求するのですが、保険者を納得させるような正しい請求をしなければいけません。保険者のお財布にも限りがあります。

病院事務<br>担当者
病院事務
担当者

おたくの保険に加入している〇〇さんが当院に受診して■■の検査と△△の注射をしました。
〇〇さんは~~円支払ったので残りを支払ってください」

こういった請求を行います。この時に使用されるのが診療報酬明細書いわばレセプトです。レセプトには患者さんの氏名、生年月日はもちろんのこと。保険者番号・記号・番号・病名・診療行為など様々な情報が記載されています。

所定の様式があります。以下のものです。

診療報酬明細書(医科入院外)
https://tunnel-megaphone.com/wp-content/uploads/2019/11/app_sinnryou_mei_ikanyuugai.pdf

引用元:東京都国民健康保険団体連合会
https://www.tokyo-kokuhoren.or.jp/insurance/circulate/download.html

このレセプトを保険者へ送って郵送します。昔は紙媒体で凄まじいことになっていたそうですが、今現在は電子的に送付しています。便利な世の中になりました。

請求を受けた保険者は「その請求が本当に正しいかどうか」を審査機関にて審査を行い、OKされたものに対して、病院へ支払いをしています。

こうして病院は運営されています。

医療費は国で決められている?

診療費は全て点数で計算されており、診療に対しての点数は国で定められています。
例えば初診料は288点 です。(令和元年10月現在)

点数は1点=10円で計算されます。よって初診料は288点×10円=2,880円
これが総医療費です。

この内の3割(2割もしくは1割)を患者さん本人が支払うことになります。
(一の位は四捨五入されます)

したがって自己負担額は 2,880円×30%=864円 →四捨五入されて860円です。

保険証の大切さが伝わったと思います。

診療費が変更されることも

今現在の初診料は288点ですが、これからもずっと288点!。。。ではありません。

以前の初診料はもっと少ない点数でした。10月までは282点だったのですが増税の影響で288点に変更されました。こういった国内の様々な事情で点数は変更されています。

大きな変更のタイミングは2年に一度行われる「診療報酬改定」です。次回は来年の4月に行われ、大きく改定されます。


経営に大きく関わることですからどの病院も大騒ぎです。

医療費を支払い「し過ぎ」ているかも?

前述のとおり、患者さん本人が支払った額以外は保険者に請求します。

ですが、審査機関により、実施した検査や治療が「やりすぎ」であると判断された場合、それは保険診療として認められず。病院に医療費が支払われません。保険査定というものです。

過剰な診療をしたから保険診療と認められていないのに患者さんは当初の請求額を支払っているというのはおかしな話です。「保険診療」として認められていないのですから。

そういった医療費を支払いし過ぎた患者さんに対して保険者から通知が来る場合があります。厚生労働省からは「自己負担額に1万円以上の過払い金が発生した方に対して通知するように」ということになっています。

そういった通知が突如届いた時、見慣れない方は「なんかハガキ来た。なんだこれ」(ぽい)としてしまわないでしょうか。それは非常にもったいないです。

そのハガキを持って受診した病院に行ってください。病院から診療費が返金される可能性があります。注意してもらいたいのはあくまでも可能性ということです。

理由は病院によって対応が異なり、保険者が介入することができないからです。

病院事務<br>担当者
病院事務
担当者

いやいやちょっと待ってください。〇〇という理由があってこの治療をしたんですよ。もう一度ちゃんと審査をしてください

と再度審査を依頼している場合もあります。そういった場合は診療費が確定されていないため、返金は難しいでしょう。

ですが、一度病院へ相談するのは悪いことではありません。ぜひ相談してください。

ということで

以上保険診療についてのお話でした。1万円以上の過払い金については通知されますが、逆にいうと1万円に達しない過払い金に対しては通知されません。


実際に現場で保険査定されている内容を見ることがありますが、結構過払いされている方は多いです。これについては病院も保険者もいちいち患者さん本人に通知してたらキリがないからだと思われます。

とまぁ、いろいろ事情はありますが、少しは医療費・保険診療について知っていただけたかと思います。

また皆さんに有益な情報をお伝えできればと思います。