【2025年12月第二週】「改正医療法」成立と補助金「直接支給」の舞台裏。病院赤字6割の苦境をDXで突破する経営戦略

医療
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  1. はじめに
  2. 1. 強まる公的介入と患者負担増:変革を迫られる「医療の公定価格」
    1. 2026年度改定への試練:薬価引き下げと物価高対策の板挟み
    2. 開業ルールの転換点:医師偏在是正に向けた法的措置の強化
    3. 国による「直接支給」の衝撃:病院経営の危機を救う緊急支援策
    4. 患者負担増の足音:入院食費・光熱水費と介護費用の見直し
  3. 2. 崖っぷちの病院経営:赤字構造からの脱却と生き残りをかけた再編の波
    1. 過去20年で最悪の経営状況:病院の6割が営業赤字、14%が債務超過という現実
    2. 「攻め」の再編か「守り」の撤退か:巨大グループ傘下入りと相次ぐ公立・公的病院の構造改革
    3. 止まらない看護職員の流出:ボーナス減と負担増による「負の連鎖」をどう食い止めるか
  4. 3. 医療DXとテクノロジーの社会実装:業務効率化と収益適正化の切り札
    1. AIによるDPCコーディング支援:九州大学病院で確認された「年間6500万円」の収益改善効果
    2. 医師を事務作業から解放する生成AI:兵庫医科大学が導入した音声認識によるカルテ作成のインパクト
    3. 地域医療を守る遠隔・オンライン支援:専門医リソースを共有する新たな救急インフラ
  5. 4. 先進医療の社会実装:新たな治療選択肢が広がる未来
    1. 再生医療の日常化:北大発の軟骨修復材が保険適用、iPS細胞移植10年の安全性確認
    2. がんゲノム医療の最適化:早期検査がもたらす治療到達率の大幅な向上
    3. 脊髄損傷リハビリの革新:手術不要な人工神経接続システムへの期待
  6. おわりに

はじめに

2026年度の診療報酬改定を控え、医療界は大きな転換点を迎えています 。物価高騰や人件費上昇が経営を圧迫する中、制度改正やDXの進展が現場に何をもたらすのか。

本記事では、2025年12月の重要ニュースを毎週厳選し、最新の行政動向から深刻な経営実態、そして未来を拓く先端技術まで、医業経営コンサルタントの視点を交えて詳しく解説します。
多忙な皆様が、最新トレンドを短時間で把握し、次の一手を考えるためのヒントを得られる内容です。

プロフィール

Kota
35歳の医療コンサルタント。とんねるめがほん運営。
9年間医療事務として外来・入院を担当。
毎月約9億円を請求していました。
現在は“医業経営コンサルタント”として活躍中。
投資もそこそこに継続中。米国株を主軸としてETFや不動産も少々投資しています。
趣味は読書・ギター・ドライブ・ダーツ。DJもたまにやります。
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1. 強まる公的介入と患者負担増:変革を迫られる「医療の公定価格」

医療提供体制の維持に向けた国の動きが加速しています。
医師の偏在是正を目的とした法的強制力の強化や、経営難に苦しむ病院への直接的な補助金支給など、かつてないスピード感で政策が打ち出されました。

2026年度改定を見据え、公定価格と実経営のバランスをどう取るべきか、最新の行政情報を紐解きながらその本質を探ります。

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2026年度改定への試練:薬価引き下げと物価高対策の板挟み

2026年度の診療報酬改定に向けた動きが本格化しています。
最新の調査によると、医療機関や薬局が医薬品を卸売業者から購入する市場価格は、国が定める公定価格(薬価)よりも平均で約4.8%低いことが明らかになりました。
この結果を受け、政府は医療費抑制のために次回の改定で薬価部分を引き下げる調整を進めています。
一方で、医療現場からは物価高騰や人件費の上昇を背景に、技術料や人件費にあたる「本体」部分の大幅な引き上げを求める声が強まっています 。

もはや「薬価差益(仕入れ値と公定価格の差による利益)」に依存した経営モデルは維持不可能だと断言せざるを得ません。
今回の調査結果は、前年度と比較しても薬価と仕入れ価格の差が縮小していることを示しており、目減りする利益を補うためには、高付加価値な診療の提供や、徹底的な在庫管理によるコスト削減といった「自助努力」の精度をさらに高める必要があります。

開業ルールの転換点:医師偏在是正に向けた法的措置の強化

地域による医師の不足や偏在を解消するため、医療法が改正されました。
今回の改正により、外来医師が多い都市部などでの新規開業を抑制する仕組みが導入されます。
具体的には、都道府県が新規開業を希望する者に対し、不足している救急や在宅医療を担うよう要請できるようになり、従わない場合には勧告や公表を行うことも検討されています。
一方で、医師が不足する地域での開業や継承には、国や都道府県が手厚い支援を行う方針です。

今回の法改正は医療機関の立地戦略を根本から変える大きな転換点になると考えています。今後は「経営効率が良い場所」という視点だけでなく、「行政が求めている医療機能を提供できるか」という視点が、認可や事業継続の鍵を握ることになります。
特に、救急や在宅医療といった負担の大きい機能を条件として提示される可能性が高いため、人材確保を含めた長期的な運営計画の策定が不可欠です。

国による「直接支給」の衝撃:病院経営の危機を救う緊急支援策

病院経営の悪化が深刻化する中、政府は2025年度補正予算において、医療分野の賃上げ・物価高対策を講じました。
特筆すべきは、通常であれば都道府県を介して行われる補助金の支給を、国が全国約8,000の病院に対して直接行う方針を固めた点です。
物価高への対応として1床あたり11万1,000円が支給されるほか、賃上げに取り組む病院にはさらに8万4,000円が追加されます。
これらは迅速な支援を目的としており、倒産防止に向けた緊急的な措置とされています。

この「直接支給」という異例の措置は、病院経営がまさに火の車であることを国が認めた証左と言えます。しかし、これらはあくまで一過性の補助金であり、病院を存続させるための「応急処置」に過ぎないことを忘れてはなりません。
この補助金で得られた資金的猶予を使い、病床数の適正化や財務体質の強化といった根本的な構造改革に着手できるかどうかが、生き残りの分かれ目となります。

患者負担増の足音:入院食費・光熱水費と介護費用の見直し

医療機関の運営コスト上昇に伴い、患者側の負担増も決まりつつあります。
来年度から入院患者の食費基準額が1食あたり40円引き上げられる見通しであるほか、療養病床に入院する65歳以上の光熱水費も1日あたり60円増額される見込みです。
また、介護保険サービスでも、2割負担の対象者を広げるために所得基準を引き下げる案が提示されており、年内に方針が決まる予定です。

これらの負担増が患者の「受診抑制(=支払いを気にして受診を控えること)」を招くリスクを重く見るべきです。特に低所得者への配慮策は検討されるものの、中間層の負担感は確実に増します。
窓口でのトラブル防止や未収金リスクの増大に備え、事前にわかりやすく丁寧な説明を行うためのオペレーション構築と、生活相談員などによる支援体制の強化が急務です。

2. 崖っぷちの病院経営:赤字構造からの脱却と生き残りをかけた再編の波

民間病院の6割が赤字に陥り、債務超過のリスクが広がるなど、経営環境は過去20年で最悪の水準にあります。
収益力の低下は深刻な人材流出を招き、さらなる経営悪化を生む「負の連鎖」を引き起こしかねません。各地の病院が断行している構造改革や機能再編の事例から、これからの時代を生き残るための生存戦略を考察します。

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過去20年で最悪の経営状況:病院の6割が営業赤字、14%が債務超過という現実

民間病院の経営がかつてない苦境に立たされています。
全国約900法人の調査結果によると、2024年度に本業の利益を示す「営業損益」が赤字であった病院の割合は61.0%に達しました。これは前年度から6.2ポイントも上昇しており、過去20年で最悪の水準です。
営業利益率の平均は△1.76%と、2年連続でマイナスを記録しています。対照的に、無床診療所の利益率は2.78%を確保しており、病院と診療所の間の収益力格差が顕著になっています 。
さらに深刻なのは、自己資本が底をつく「債務超過」の病院が13.6%にまで増加したことです。
2024年度の診療報酬改定はわずかなプラスでしたが、それを上回るペースで人件費や光熱費、医療材料費が高騰し、多くの現場が増収減益の罠に陥っています。

これはもはや「これまでの延長線上」の経営管理では立ち行かないフェーズに入ったと言わざるを得ません。コスト増を公定価格(=診療報酬)に転嫁できない制度上の制約がある以上、収益力を高めるためには、提供する医療の「密度」を上げることと、徹底した「原価管理」の両立が不可欠です。

「攻め」の再編か「守り」の撤退か:巨大グループ傘下入りと相次ぐ公立・公的病院の構造改革

経営環境の激変を受け、地域医療の「形」を変える再編の動きが急ピッチで進んでいます。
北海道では、徳洲会グループが室蘭市の日鋼記念病院を傘下に加え、3年以内に心臓血管外科を設置するなどの高度急性期機能の強化を打ち出しました 。
一方で、公立・公的病院では厳しい決断が続いています。群馬県の国立病院機構沼田病院は、赤字継続と医師確保の困難を理由に、年内にも廃止の最終判断を下す方針です。

長崎みなとメディカルセンターでは、資金ショートを回避するため、病床数を2割、職員数を約7%削減する大規模な構造改革案が示されました。また、市立札幌病院も6年連続の赤字を見込み、病床稼働率を90%まで引き上げることで2029年度の黒字化を目指すなど、各所が生き残りをかけた中期計画の練り直しを迫られています。

この動きについては、自院単独での経営に固執するリスクがかつてなく高まっていると感じます。
徳洲会のような巨大グループが地方病院の再生に動く一方で、公立病院が廃止や縮小を余儀なくされる現状は、今後の地域医療が「公的セクターによる維持」から「広域医療グループによる機能再編」へと大きくシフトしていく兆しではないでしょうか。

止まらない看護職員の流出:ボーナス減と負担増による「負の連鎖」をどう食い止めるか

医療現場を支える「人」の危機も限界に達しています。労働組合の調査によると、2025年冬のボーナス(年末一時金)は昨年比で平均7,262円の減少となりました。
新型コロナ関連の補助金が打ち切られた影響もあり、現場で働く看護師の年収は数年前より20万円以上減少しているケースも見られます。
こうした処遇の悪化に加え、慢性的な人手不足が現場の負担をさらに重くしています。ある病院では1年間に58人もの看護師が退職し、本来18人で担うべき業務を12人で対応せざるを得ないなど、崩壊寸前の現場も報告されています。
人手不足で患者に寄り添えない現状が、さらなる離職を招く「負の連鎖」が起きています。

人件費の抑制は短期的には経営を支えるかもしれませんが、中長期的には「稼働できない病床」を生み出し、自院を死に至らしめる毒になると指摘したいです。
スタッフが「ここでは安心して働けない」と感じた瞬間、その病院の再建はほぼ不可能になります。給与水準の維持だけでなく、DX活用による業務負担軽減を「離職防止の経営戦略」として位置づけるべきです。

3. 医療DXとテクノロジーの社会実装:業務効率化と収益適正化の切り札

深刻な人手不足と収益悪化を同時に解決する鍵として、医療DXへの期待がかつてないほど高まっています。AIによる請求の適正化や、生成AIを活用した事務負担の軽減は、もはや一部の先進病院だけの取り組みではありません 。

実際の導入効果や地方での遠隔支援モデルを紹介し、テクノロジーが医療現場の景色をどう具体的に変えていくのかを詳しく見ていきましょう。

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AIによるDPCコーディング支援:九州大学病院で確認された「年間6500万円」の収益改善効果

医療機関にとって、提供した医療サービスを適切に診療報酬へ反映させる「DPC(診断群分類)コーディング」は、経営の生命線です。
九州大学病院は、大規模言語モデル(LLM)を基盤としたAIサービス「ユビーDPCサポーター」を導入し、その高い実用性を実証しました。

過去の症例データを用いた検証では、経験豊富な担当者とAIの提案コードの一致率が90%に達し、残りの10%についてもAIの提案によりコード変更が妥当であると確認されています。この取り組みによって、年間で6,500万円以上の収益改善効果と、業務時間の短縮が確認されました。

この成果は単なる「事務の自動化」を超えた、戦略的な経営改善の成功例だと捉えています。例えば、肺がん治療中の患者が腸閉塞を併発したケースで、治療実態に即して腸閉塞を主病名と判断し、7,534点の適正化(=増点)に繋がった事例などは、人の目だけでは見落としがちなポイントをAIが的確に補完した結果です。

忙殺される現場医師や事務スタッフの「知識のムラ」や「確認漏れ」をAIがカバーすることで、病院が本来受け取るべき正当な対価を漏らさず請求できる体制を構築することは、今の低利益率時代において極めて有効な投資となります。

医師を事務作業から解放する生成AI:兵庫医科大学が導入した音声認識によるカルテ作成のインパクト

医師の働き方改革において最大の障壁となっているのが、膨大なカルテ作成業務です。
兵庫医科大学では、音声認識と生成AIを組み合わせた支援ツール「medimo」を本格導入しました。これは医師の説明を録音・文字起こしし、数秒で要約して電子カルテに反映させるものです。
特に注目すべきは、単なる情報の要約にとどまらず、告知を受けた患者の不安や戸惑いといった「心情面」まで正確に記録できる点です。これにより、30分の説明を文章化するのに10〜20分かかっていた負担が劇的に軽減されました。

この技術の真の価値は、医師の「心理的負担の軽減」と「インフォームド・コンセント(=十分な説明と同意)の質向上」にあると見ています。
告知などの重要な場面では、医師自身も緊張を強いられ、後で詳細を思い出しながら記録することに精神的なストレスを感じるものです。
AIがその場の空気感まで含めて即座に記録化してくれることで、医師は「記録すること」へのプレッシャーから解放され、目の前の患者に100%集中できるようになります。これは医療安全の観点からも、患者満足度の観点からも、計り知れないメリットを生みます。

地域医療を守る遠隔・オンライン支援:専門医リソースを共有する新たな救急インフラ

医師不足が深刻な地方病院の救急現場を、都市部の大学病院がオンラインで支える試みが始まっています。
鳥取大学病院は、専門的な救急医が不在の安来市立病院とシステムを繋ぎ、高性能カメラを通じて遠隔から助言を行う運用を開始しました。
実際にマムシに噛まれた症例では、遠隔診断によって「転院不要」と判断され、不必要な長距離搬送を回避した実績も出ています。
また、長野市では年末年始の救急外来の混雑緩和を目的として、初めてオンライン診療を導入し、軽症患者への対応を試行しています。

オンライン活用はもはや「対面診療の代わり」ではなく、限られた専門医リソースを地域全体で「シェアリング」するための不可欠な基盤になったと感じます。
専門医を全ての病院に配置するのは現実的に不可能です。しかし、デジタルを介して「知識」だけを即座に派遣できれば、地方病院の救急機能は飛躍的に安定します。一方で、こうしたプロジェクトを成功させるには、技術そのものよりも「病院間のデータ連携」や「責任分界点の明確化」といったガバナンスが重要です。
海外の研究でも指摘されている通り、AIやデジタル導入の失敗の多くは、アルゴリズムの問題ではなく、既存のレガシーなITシステムやデータの不整合が原因であることを肝に銘じるべきです。

4. 先進医療の社会実装:新たな治療選択肢が広がる未来

再生医療やゲノム医療の分野では、研究段階から「標準的な治療」への移行が着実に進んでいます。
保険適用の拡大や長期的な安全性の立証は、医療機関の提供価値を根本から底上げし、新たな患者ニーズを掘り起こす可能性を秘めています。
手術不要な機能再建技術など、リハビリテーションの概念を塗り替える革新的な動向をまとめました。

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再生医療の日常化:北大発の軟骨修復材が保険適用、iPS細胞移植10年の安全性確認

研究段階にあった先進的な治療法が、いよいよ一般的な医療の枠組みへと入り始めています。
北海道大学と持田製薬が共同開発した、膝や肘の関節軟骨再生を促す修復材が12月1日から保険適用となりました。
これはコンブの成分であるアルギン酸を活用したゲル状の材料で、手術で損傷部に注入することで周囲の幹細胞を集積させ、軟骨の再生を促す仕組みです。
交通事故やスポーツによる損傷が対象となり、従来の治療法に比べて「手術が1回で済む」「正常な組織の採取が不要」といった、患者の身体的負担を大幅に軽減する利点があります。
また、2014年に世界で初めて実施されたiPS細胞による網膜細胞移植についても、術後10年が経過してがん化などの異常がなく、安全性が長期的に確認されたことが報告されました。

こうした再生医療の保険適用や長期的な安全性の立証は、特定の高度医療機関だけでなく、地域の中核病院にとっても「提供できる医療の質」を再定義する大きなチャンスになると捉えています。
特に軟骨修復材のようなデバイスが保険診療で扱えるようになることで、これまで「完治は難しい」とされていたスポーツ外傷などの症例に対し、より早期の社会復帰を目指す具体的な提案が可能になります。

がんゲノム医療の最適化:早期検査がもたらす治療到達率の大幅な向上

がんの治療においても、検査のタイミングが患者の予後を大きく左右することがデータで示されました。
京都大学病院の研究グループによると、がんの遺伝子変異を網羅的に調べる「がん遺伝子パネル検査」を標準治療の開始前という早期段階で行った場合、25%の患者が検査結果に基づいた最適な治療を受けることができました 。
これは、現在の保険診療で主流となっている「標準治療終了後」のタイミングでの実施(治療到達率8.2%)と比較すると、約3倍にまで向上しています 。
早期検査によって適切な治療薬が見つかった患者は、そうでない患者に比べて死亡リスクを41%抑えられたという結果も出ています。

現在の「標準治療が終わってからパネル検査を検討する」というフローそのものが、経営的にも臨床的にも見直しの時期に来ていると感じます。患者の状態が悪化してからでは、たとえ有効な薬が見つかっても投与できないという機会損失が生じます。
早い段階で検査を組み込むことは、患者の生存期間を延ばすだけでなく、無駄な投薬を減らして医療の効率化を図るという、病院経営における「質と効率の追求」に合致する戦略です。

脊髄損傷リハビリの革新:手術不要な人工神経接続システムへの期待

身体への負担が極めて少ない形で、失われた身体機能を取り戻す技術も実用化に近づいています。
東京都医学総合研究所などのグループは、事故などで脊髄を損傷し、歩行が困難になった人に対し、手術をせずに腰へ磁気刺激を送ることで歩行機能を再建する「人工神経接続システム」を開発しました。
このシステムは、腕などの動かせる部位の筋肉から出る電気信号を磁気刺激に変換し、腰の神経回路へ送るものです。
訓練を続けることで、装置を使わなくても自力で脚を動かせるようになる可能性も示唆されています。

この「非侵襲(=体に傷をつけない)」という点が、リハビリテーション医療のビジネスモデルに大きな変革をもたらすと注目しています。
電極の埋め込み手術が不要であれば、急性期病院だけでなく、回復期リハビリテーション病院や、将来的には外来診療所でも導入のハードルが下がります。これは、セラピストの技術力に依存してきた従来のリハビリに、テクノロジーによる「再現性の高い機能回復」を組み合わせるという、新たな収益モデルの確立を意味します。

おわりに

医療を取り巻く環境は厳しさを増していますが、制度の変化やテクノロジーの進化は、新たな経営の柱を築くチャンスでもあります。
重要なのは、情報の波に飲まれるのではなく、自院の置かれた状況に照らし合わせて「何を取り入れ、どう変わるべきか」を主体的に判断することです。
現場の「痛み」に寄り添いながら、同時にデジタルや再編という「武器」を賢く使いこなす姿勢が、これからの持続可能な病院運営には欠かせません。

本記事が、皆様の経営判断の一助となれば幸いです。

最後までお読みいただき頂き、ありがとうございました。